前回は、親権を争っている母親が学校に来て、子供を無理矢理連れて帰ろうとする話をしました。
実はその学校ではこうしたケースが結構見られるなど、そんな恵まれない子供たちがたくさんいました。
家で十分な食事を与えられていない子供や虐待に近いような行為を受けている子供、その日暮らしの中で着る物がいつも同じの子供など、学校に来ることや学習すること以前の問題を抱えて、それでも一生懸命に生きているような子供たちが多い学校でした。
それぞれの家庭や学校で抱えている問題や中身は様々ですが、今の学校現場はこうした多くの問題に直面している所が多いと思います。
そして、やはりこれらの問題の多くは家庭が発端になっている場合が多く、(もちろん学校に問題がある場合もありますが…)その現実や現状を多くの人に知ってほしいと思うのです。
今こそ、日本の家庭教育を見直し、そこに教育の本質を求めながら教育改革を進めていかなければならないのではないでしょうか。
子供たちの将来、未来を案ずるのであれば、学校教育に全面的に頼っているような社会ではだめだと思います。教育の基本・基盤は、やはり家庭にあると思うからです。
実はその学校がある区域では、近隣の学校10校が隔月に1回程度集まり、会合を開いていました。その会合がある度に、どの学校もたくさんの問題に悩んでいる様子や状況が手に取るように伝わってきました。
何とかできないものかと四苦八苦している校長がほとんどで、「どこの学校も同じような状況なのだなあ…」と、正直少し安堵している自分がいました。
学校におけるいろいろな「カスハラ」(=保護者からのクレーム)に対して、学校としては最終的には「子供にとってどうあることが良いことなのか」を中心に据え、対応のあり方を考え、決めていくことが大切だと思います。
これからも「カスタマー」に当たる保護者とのコミュニケーションを密に取り、「カスハラ」につながらないような良好な関係を日頃から築いていくことが何よりも学校に求められていると思います。
もちろん、不当な要求に対しては、断固として応えられないと学校は主張するべきだと思います。
合わせて、保護者(子供)が学校を自由に学校を選べるような制度をつくっていけばよいと思います。そして、互いに良くないと思えば、学校を替わることもできるような制度にしていったらよいと思います。
最近は、本当に様々な家庭環境や生活状況に暮らす子供たちです。
そんな家庭や子供に合わせて、学校も様々な形態や制度を取り入れていく必要があると思っています。
そうすることが、日本の学校教育や子供たちを守ることになるのではないでしょうか。
昨今増えてきている、「不登校特認校」や「フリースクール」などがとても良い例です。
官民を問わず、広く学校という場所が子供一人一人にとって居場所のある所となるよう、新しい学校のあり方が問われていると思います。