『皆さん、お金は好きですか?…好きな人?』
「金銭教育」(小学5年生のクラスで)について、もう少しお伝えします。
まず、導入では、本時の学習課題が提示されました。(この学習の終わりまでに、自分の今後の生活への目当てを見つけるという課題)
そして、学習の大まかな見通しをもった後に投げかけられたのが、冒頭の言葉です。
子供たちは、思い思いに言葉を発していました。
そのときの板書は、3組では「めちゃ好き」、4組では「大大大好き」でした。(笑)
続いて、お金の3つの働き(①交換できる ②価値を表す ③保存できる)について考えた後、たくさんのイラスト(コンビニ、花屋、タクシー、ショッピングセンター、公園等)を一つ一つ提示し、「これは、お金と交換できますか?」と聞いていかれました。
子供たちは、イラストを見ながら真剣に考え、答えていきます。
時々、答えに迷ったり戸惑ったりしながら、同じ交換できるものでも種類が違うことに気づいていく子供たち…。
一人一人が自分なりに思いや考えを巡らせ(思考)、生活経験と照らし合わせ(判断)、思わず吐露されるつぶやきや発言をせずにはいられないといった様子(表現)から、子供たちの学びたいという思いや学ぼうとする姿勢が伝わってきました。(この他にも、バナナの値段について考え、話し合う場面などがありました)
最後に、全員で「お金」の特徴(有限性・平等性・保存性)について考えた後、講師の先生が「お金」と「時間」とを対比し、次のように言われました。(その時の板書は下記)
板書
【お金】 <特徴> 【時間】
有限 有限性 有限
不平等 平等性 平等
保存できる 保存性 保存できない
『 「時間」は「お金」と違って、保存することができません。でも、唯一保存する方法があります。さて、何でしょう? ・・・・・・(子供たちから答えは出ませんでした)皆さんにとって、それは「一生懸命に勉強や運動をすること」です。勉強や運動したことは、自分の頭や体の中にずっと保存しておくことができるからです。(「あ~、なるほど!」の声)… だから、一生懸命勉強や運動をしてください!』
子供たちは、これまで聞いたことがないくらい大きな声で「はいっ!」という返事。
この学習を終えて、どの子供もとても満足している様子が見て取れました。
この授業で、少しだけ残念に思ったことがあります。それは、教師と子供との対話が中心に進められ、子供同士で話し合う場面が少なかったことと、振り返りの時間がなかったことです。昨今目指している「対話的な学習」や「協働的な活動」を柔軟に取り入れていくことで、さらに深い学びにつながるであろうと思いました。
楽しそうな表情や真剣に考えている子供たちの姿を見ながら、生活に身近なもの(こと)を教材にする良さを改めて感じていました。
また、このような授業こそが、今後や将来に生きて働く知識・技能の習得につながっていく学習だと思いました。
こういう学習が、これからの変化の激しい時代を生き抜いていかなければならない子供たちに必要な教育だと思います。
その意味から、思考力・判断力・表現力を着実に身につける授業を構想し、普段の授業の中で、地道に実践していくことが重要です。
この学習は、まさに子供一人一人がアウトプットしている授業でした。
「子供全員がアウトプットする授業」…あなたも目指していきませんか!