「朝読書」を始めた小学校で、もう一つ新しく始めた活動があります。
2限と3限の間の休憩時間に「ランランタイム」を導入したのです。
「ランランタイム」とは、「体力つくり活動」の一環として、全校の子供たちが取り組む運動の時間です。基本的に走ることから始め、様々な運動に取り組む活動をイメージしてネーミングしました。自由遊びの時間も必要と考え、休憩25分間の内、最初の10分間を当てました。
結論から言うと、最終的には後半になってマンネリ化し、うまくいかなかった部分があります。それが正直な実感と反省であり、言い訳です。(バリエーションを増やしたり、目標設定を実態に合わせたりするなど、もっと工夫とアイデアが必要でした)
ただ年間を通して、前半はとても効果的で、良い雰囲気で活動が進んでいきました。
体育主任や体力向上部会の先生たちが先頭に立って積極的に推進したおかげで、少しずつ子供たちに活動が浸透して、校内に活気が出てきました。
小学校体育は、子供たちの生涯スポーツの基礎を築くための土台となります。子供たちが運動・スポーツに興味・関心をもち、楽しさや面白さを感じながら、日常的に運動・スポーツに親しむようになることが目標です。
その意味で、この「ランランタイム」は、とても意義のある活動だったと考えます。
さて、突然ですが、ここで質問です。
あなたなら、「ランランタイム」を子供たちにどのように取り組ませようと思いますか?
下記のA、Bから選んでください。
A:50m走を週に5日行い、1日に3本走る「ランランタイム」
B:50m走を週に3日行い、1日に5本走る「ランランタイム」
AとB、どちらも1週間に走る本数は全く同じ15本です。さて、いかがでしょう?
実は「ランランタイム」導入に際し、教員からはどちらの意見も聞こえてきました。
また、これは人によって意見が分かれるところだと思います。
私は、そのときの状況や実態にもよりますが、今回は迷うことなく「A」にしました。
なぜか? … 子供たちに運動習慣を身に付けさせたいと思ったからです。
特に、これまで動的な活動が日常化していなかった全校児童が、本数は少なくても毎日走ることで、運動することへの抵抗感を減らしていってほしいと思ったからです。
体を動かすことに慣れ、楽しく取り組むようになってほしいと思ったからです。
だから、「ランランタイム」は、そうしたねらいで導入しました。
(※静的な活動として始めた「朝読書」も同じです。読書を習慣化し、本を読むことに慣れることで、本を好きになり読書の世界を楽しみつつ、豊かな心を醸成してほしいという思いです)
また、一部には50m走を3本で終わらず、7~10本も走る子供が出てきました。しかも自ら進んで、です。(ランランタイムが終わっても、楽しそうに競い合って走っていました)
これは、毎日取り組んできたことによる、付加的かつ大きな効果です。「走っている内に、もっとやりたくなった」「走ることに慣れて、意欲が高まった」ということです。
実は、このような子供たちの姿は、最初から予想していました。それもねらいでしたし、自然にそういう姿が現れるだろうと考えていました。全校児童で取り組んでいることの効果もあるでしょう。「みんながやっているから、わたしもやろう(やらなくちゃ)!」という気持ちになるということです。
(※一部の子供だけの活動であれば、これは無理でしょう。「みんながマスクを外さないから、ぼくも外さない(外せない)」というのも、逆の意味でこれと同じです。これは、最近よく言われる「同調圧力」ですね)
一方、Bの場合、上記のような効果は、あまり期待できないと思います。
なぜなら、週5日が週3日になることで、その習慣性が低くなるからです。
「あ~あ、今日はランランタイムの曜日か…」となってしまう可能性もあります。
また、習慣性が低くなることで取り組まない子供が増え、全体で取り組むという、良い意味での同調効果も弱まることでしょう。(あの人がやっていないから私もやらない…と)
要するに、毎日全校で「ランランタイム」に取り組んできたからこそ、あまり苦労することなく、体を動かす(走る)ことが習慣化(日常化、ルーティン化)できたということです。(先生方は、大変だったと思いますが…)
「人は、習慣でできている」と言われます。
習慣になれば、特に努力しなくてもいろいろな技能が身に付いたり、自然と力が高まったりしていきます。だから、まずは量が少なくても簡単なことでもよいから、「毎日やる」ことが大切です。(もちろん、例外や逆のパターンが良いケースもあります)
小さなことが大きなことにつながるのです。
このように新しいことを始める時に、私は「毎日やる」ことが重要だと思っています。
最初は大変ですが、「毎日やる」ことで「続ける」ことができるようになっていきます。
それが、いずれ「習慣」という強い武器となり、自身の生活に恩恵としてもたらされます。
あなたも、クラスで「毎日やる」ことを何か始めてみませんか…。
読書でも走ることでも、何でもいいのです。楽しんでできることであれば、さらに良いでしょう。
子供たちに力をつけるために、ぜひともチャレンジしてほしいと思います。