前回からの続きです。
学校教育における「働き方改革」については、少し例えがよくないかもしれませんが、私は「ダイエット」に似ていると思います。
例えば、ダイエットをしようと決めた人が、3kg体重を減らす目標を立てたとします。そのために糖質や甘い物を我慢して摂らないようにしたり、有酸素運動で脂肪を燃焼させようとしたりします。
努力の甲斐があり、2か月で3kg減を達成しました。当然、本人は嬉しいでしょう。その代わり、筋肉も落ちて貧弱な体形になってしまいました。(恥ずかしながら私のことです)
果たして、これで成功と言えるのでしょうか。ダイエットの目的は、いったい何なのでしょう。単に体重を減らすことでしょうか。
体重と一緒に筋肉も落ち、体形が以前より悪くなっても、成功?
体重が減りさえすれば、栄養が偏り、シワやシミができ肌つやがなくなっても目標達成?
ダイエットをする多くの人にとって、きっと体重を減らすことが本当の目的ではないと思います。(まあ、いろいろだとは思いますが…)
多くの人は(脂肪を)落とすところは落とし、(筋肉を)付けるところは付けることで、体重が落ちた後の若々しく均整の取れたカッコイイ体、美しい肌や素敵なボディライン等を夢見て、ダイエットを始めるのではないでしょうか。
だとすれば、不要なもの(=脂肪)を「減らす」だけでなく、必要なもの(=筋肉)を「増やす」ことが大切です。
つまり、3kg減を目指すのであれば、5kgの脂肪を落とし、2kgの筋肉を付けるぐらいのつもりで生活を改善していかないと、本当の目標は達成できないということです。
働き方改革も同じで、「仕事を減らした」先にある本当の目的、少しでも良い授業をすることや子供たちと密接に関わることなど、私たちが目指す未来の姿をしっかり思い描き、目指していくことが大切です。
そもそも教員にとっての「働き方改革」は、これまで学校が「子供のため」と引き受けてきた数多くの業務に忙殺される働き方を見直すことです。『専門的な知識や技能を生かし、本来の教員としての役割を十分果たせるようにすること』だったはずです。
「本来の教員としての役割」とは、『子供の学びを保障し、指導・支援すること』『子供と関わり、人としての成長を援助すること』などです。
それと、教師が果たしたい重要な役割が、もう1つあると思っています。
それは、「子供と関わりながら働く、最も身近な大人」として、私たちが生き生きと働く姿やその生き様を堂々と見せること(働くことの喜びや夢を見せること)です。
学校生活を通して、そんな大人の姿を見た子供たちが
「私も、あんな先生になりたい!」
「教師という仕事をやってみたい!」
「ぼくも、早く大人になって働きたい!」
など、教師という職業や素敵な大人に憧れる子供を増やしていくこと…それが学校という教育現場で働く教師に課せられた使命ではないでしょうか。
「先生って、いつもつらそうだなあ…」
「働くのって、何かいやだな」
「教員って、すごくブラックなんだって」
そんな寂しいつぶやきや見方を、黙って見過ごしていてはいけないと思うのです。(※残念ながら、それが若者の教員離れにも現れているようですが…)
偉そうなことを言いますが、教師として楽しく生き生きと働く姿、大人として幸せそうに働く姿を子供たちに見せていく、そんな「働き方改革」を目指していきませんか。
これまでのように「ムダな会議を減らす(短縮する)」「授業のやり方を変える」「○○(の仕事)をやめる」など、業務改善に繋がる取り組みは可能な限り行っていくべきだと思っています。
ただし、国や上から言われて見直す、受け身の「働き方改革」ではなく、教師一人一人が自らの働き方を見直し、自分はどんな働き方をしていくのか、そのためにどうしていけばよいのかを真剣に考え、自ら行動変容を起こしていく「働く人改革」を目指していきたいものです。
自分が選んだ仕事にやりがいと誇りをもって、楽しく生き生きと仕事ができるように…
それが、本当の意味での「働き方改革」であり、教師にとっての「幸せな働き方」といえるのではないでしょうか。