47 学級経営のイロハ33「家庭での子供を知る」

 前回の「保護者とのつながり」に関連し、今回は「家庭での子供を知る」です。

家庭での子供を知る

 学校で見せる子供の姿や様子と、家庭で見られるものとは、たいていの場合異なることが多いです。

 それは、保護者と話したり面談したりする中で、知ることができます。

 同じ子供であっても、学校と家庭でその姿や様子が違うのは、自分自身のことを考えてみても容易に分かることでしょう。

 例えば、学校ではいつももたもたとしていて何事にも時間のかかる子が、家庭では意外とテキパキ行動していたり、学校ではわがままで粗暴な子が、家庭では妹思いの優しいお兄ちゃんであったりということがあります。

 しかし、人はやはり目の前で見ていないことは、なかなか想像ができず、最初はその違いに驚いたり信じられなかったりします。保護者とじっくり話をする中で、それが想像できるようになり、腑に落ちるようになっていきます。

 こうした学校とは異なる子供の姿や様子は、教師は知らなくてもいいようにも思われます。学校生活とは別のことであり、特に問題はないと思うからです。

 しかし、私はこれを知っておくことは、とても重要なことだと思っています。

 なぜなら、その子のことを少しでも知ることは、その子供を理解することにつながるからです。また、それを生かす機会や場面は、学校生活の中できっとあると思っています。

 

 以前、こんなことがありました。

 クラスの中で、自己中心的で友達とのトラブルが絶えず、時には私にも反抗的な態度を取るなど、誰ともうまく人間関係をつくれない子がいました。(A男とします)

 何度も指導を繰り返しましたが、いわゆる「なかなか指導が入りにくい子」で、周囲の子供たちもA男のことが恐くて、仕方なく従っているような状態でした。

 ある時、A男が友達とトラブルを起こし、母親に学校に来てもらい、話をすることになりました。母親とはそれまで個別懇談会などで話す機会はあったのですが、その時初めて、母親と二人でじっくりと話をしました。その時、新たに分かったことがありました。

 それは、あんなに乱暴なA男が、家庭では弟や母親に対してとても優しい、思いやりのある子だということでした。家では家事の手伝いを進んで行ったり、小さな弟の面倒を見たりして、母親はとても助かっているという思いを吐露しました。

 私は、てっきりA男は家でもわがままで乱暴なのだろうと思い込んでいたので、意外なことに驚いたのを覚えています。

 私は、「A男なりに頑張っているんだなあ。見方を改めなくては…」と思いました。

 また、「A男は、家で頑張りすぎているが故に、学校であんなふうに自分を発散しようとしているのかもしれない」と思うようにもなりました。

 そう思うようになってからは、私のA男に対する見方や指導の仕方が変わりました。

 それまでは何かトラブルがあった時に、「また始まったか、もう」と、イライラしながら感情的な見方をしていた自分が、以前よりも落ち着いて、より客観的にA男やその状況を見られるようになったのです。

 当然、A男への対応も変わってきます。

 感情的になることなく、何がどうしてそうなったのか本人たちに整理させながら、丁寧に聞き取りをし、適切な対応を取ることができるようになりました。

 関わった子供たちも含めて、互いに納得し、問題がスムーズに解決できることが増え、私とA男との関係も良くなっていきました。

 A男もクラスの友達と穏やかに過ごせる日が多くなり、周囲へのわがままや乱暴も徐々に少なくなっていきました。

 本人に確認した訳ではありませんが、A男は、それまで「クラスのみんなや先生は、ぼくのことを敵視している」と思っていたのではないでしょうか。

 それが、「みんなや先生が、ぼくのことを分かってくれるようになった」と思えるように変わっていったのだと思っています。

 このケースは、保護者との時間をかけた話し合いから、効果的な指導につなげることができた例です。

 必ずしもうまくいくとは限りませんが、子供のことをよく知り、深く理解することで、指導の仕方を改善したり、関係づくりにうまく生かしたりすることができます。

 地道な子供理解と保護者との連携・関わりの繰り返しが、子供たちとのつながりを強化していきます。

 時間のかかることですが、子供や保護者と関わるチャンスを日頃からどれだけ大切にし ているかが、いざという時の指導・支援にも生きてくると思っています。

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