「ヨコの関係づくり」、5つ目のテーマです。
今回からは、教師と子供の関係づくりだけでなく、子供同士の関係づくりにも言及していきたいと考えています。
話し合い、教え合い、学び合う授業
あなたは、教師が授業の中で、子供たちに向かってずっと話しているという場面を見たことはないでしょうか?
私は、結構あります。学校教育は「教える」から「学ぶ」へと改革していく必要がある、と随分前から言われてきました。つまり、「教師が教える」のではなく、「子供が学ぶ」ことが大切だということです。昔と違い、今となっては、あまりにも当たり前の考え方です。
しかし、学校現場では、未だにこれが徹底されているとは思えません。
ただその原因は、先生方の意識が追いついていないからというより、時間的な制約や制度上の問題など、なかなか難しい面が影響しているように思います。(この点については、別の機会にもう少し誌面を割いて持論を展開したいと思います)
間違いなく言えるのは、教師が一方的に話す、いわゆる「教える」授業をできるだけ減らし、子供たち同士が話し合ったり教え合ったりしながら学び合う授業をもっと増やしていかなくてはならないということです。
教師が仕組む授業のあり方として、そういう授業を増やしていかなければならないということです。
口では簡単に言えますが、実践するのはなかなか大変なことです。だからこそ学校現場では、日頃から研修会を行ったり講師を招いて学んだりしている訳です。
ところで、学級経営は、授業以外でやることと思っている人がいるかもしれませんが、そうではありません。私は、学級経営は授業の中で行うものであり、授業の土台となるものだと思っています。
もちろん各教科の学習には、「学習のねらい」がありますが、授業の中では、それと同時に、「学級経営のねらい」を意識しながら授業を進めていくことが大切です。
学級活動や朝の会で行うことだけが「学級経営」ではなく、授業の中で関係づくりを行っていくことこそが「学級経営」だと思っています。
つまり、授業の中で、学級経営のねらいである「子供同士のヨコの関係」をつくっていくということです。
それを、話し合い、教え合い、学び合う授業の中で、具体的に実践していくのです。
例えば、話し合いの授業は、これまで公開授業や研究授業などで、誰もが取り組んできたことだと思いますが、改めて見直してみたいと思います。
あなたのクラスでは、授業の中で子供全員がインプットとアウトプットを行っていますか?
一部の子が発言し、その他大勢の子は何も発言しない授業、になっていることはないでしょうか。もしそうだとすれば、それは見直すべき問題だと思います。
学びというのは、インプットとアウトプットを行ってこそ深まっていくと思うからです。
インプットのみでは、なかなか頭の中に残りません。アウトプットしないと、その内忘れてしまい、定着はしないものです。私たち大人自身がそうではないでしょうか。
子供も同様です。だから、必ずインプットとアウトプットをセットで考えていくことが大切です。これは、1時間の授業の中で必ず両方を行うということではなく、両方を計画的に取り入れていくこと、どちらも繰り返しながら行っていくことが大切だと思っています。
教師や一部の子供たちが一方的に、独壇場のように話すのではなく、「話した後は、聴く」「聴いたら、話す」など、子供全員がインプットとアウトプットを繰り返す学習を効果的に取り入れていくようにしたいものです。
そうすることで、話し合い、教え合い、学び合う授業の基盤ができていきます。
子供一人一人が互いに「話す」「聴く」ができるようになることで、ようやく子供同士の「話し合い」ができるようになっていきます。「話し合い」は、そこからスタートするのです。
「私話す人、あなた聴く人」というのでは、いけません。本来それは「話し合い」とは言いませんが、意外とクラスでは平気で行われています。
もちろん、よく話す子とそうでない子がいるのは、個性としては良いでしょう。
しかし、実際には一人一人が話していない(アウトプットしていない)授業がとても多いというのが現状です。
今一度、子供同士の関係づくりの観点から、学び合う授業の最初の段階である話し合いを見直してみましょう。
次回は、その「話し合い」についてです。