28 学級経営のイロハ⑭「タテの関係づくり」(Ⅲ 教室環境をつくる-②清掃環境を整える)

 

 今回は、② 清掃環境を整える です。

 ポイントは、3つあります。

 「教室の清掃」「整理・整頓」「物の扱い方」です。

「教室の清掃」

 清掃は、当番活動として、その役割分担ややり方が最低限必要になってきます。

 それらが毎日のシステムとして、きちんと機能していなければいけません。

 4月当初に、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を明確にし、子供一人一人が、自分が何をするのが分かり、実際に行動できるように指導しておくということです。

 教室に当番表が掲示してあることが多いと思います。その当番表を基に、各自が清掃場所や役割を把握し、行動することになります。

 清掃は、自分の教室だけではなく、学校内のいろいろな場所の清掃を任されていることも多いです。どこの場所であろうと、すばやくその場所に行き、準備ができた人から清掃に取りかかることが大事です。

 ところで、私の場合は、特にこの「教室の清掃」に重点を置きます。

 学級経営の柱の一つにすることもあるくらいです。

 理由は、「子供たちの心をきれいにするため」です。

 清掃は、その場所をきれいにするだけでなく、取り組む人の心もきれいにするものです。

 特に荒れたクラスだと、子供たちの心とともに、教室がものすごく汚くなります。

 そういう時は、誰かが一生懸命教室を清掃し、整理・整頓するだけで、クラスの雰囲気が変わってきます。(大抵の場合、まずは担任がその役割を担いますが…)

 子供たちに「清掃は、自分の心をきれいにするためにやる」ことを伝え、精一杯取り組むよう話します。

 ただ、4月当初に、ほうきやぞうきんがけのやり方など基本的な指導はしますが、それ以降、指導はしません。

 その代わりといっては何ですが、次のような話をします。

・清掃の意味(自分の心を振り返る、見つめる、思いやりをもつ、自らを高めることなど)

・自分の心を振り返りながら、言葉を使わずに清掃すること

・自分の心を見つめながら、高めるように清掃すること

・自分の心を遣いながら、周りの人のことを考えて清掃すること

 子供一人一人が自分の心を自ら見つめ、自ら高め、自ら思いやりの心を育てていくために、清掃をするということを、最初に十二分に伝えます。

 友達が何かで困っていたら、黙って手を差し延べて助けたり、協力したりしながら行う清掃ともいえます。

 よく「黙働(もくどう)清掃」という、黙って静かにやることを目指す清掃の仕方がありますが、それとは少し異なります。「心の清掃」といった方がよいでしょう。

 「自らを問い、自らを見つめ、自らの心を高める清掃」です。

 また、それ以降は、私から注意したり叱ったりしないことも伝えます。子供たち同士も、注意し合わないようにします。

 私は、子供たちと共に一生懸命清掃をするだけです。子供たちの様子は当然見えますが、たとえさぼっていたり良くない状況があったりしても、一切指導しないようにします。

 約束であり、目指す清掃の意味から外れるからです。

 ひたすら子供たち自身の心の高まりを待つことになります。

 あくまで、自ら気づき、自らの心を高めていくことを重視し、清掃の中で鍛えるのです。教師が指導したり注意したりすることなく、自分で自分を高める清掃の時間にするのです。(もちろん、それ以外の場では、これまで伝えてきたような様々な指導を行います)

 最初は、子供たちからも「さぼる人がいて困る」といった意見が出てくると思います。

 しかし、ここは根気強く、自分を見つめることに徹することを話し、さぼる子供たちも自ら気づくようになるまで待とう、ということを伝えます。

 最初は上手くいかないことの方が多いでしょう。しかし、子供は、心の中に必ず「自分を高めたい、良くなりたい」という思いや願いをもっているものです。それを信じます。   

 信じて、心の清掃の大切さを繰り返し、粘り強く伝え続けるのです。

 学校全体にもこの趣旨を伝えておかなくてはなりませんが、やる価値はあると思います。

 浸透してくれば、子供たちは大きく変わります。

 「部屋は、そこに住む人の心を現す」の言葉のとおりです。

 もちろん、時々清掃の様子についてクラス全体で振り返り、思っていることを話し合わせたり、教師からも感じていることを伝えたりします。

 子供たちはいろいろな思いを正直に語ることでしょう。それを一人一人がどのように感じるかです。 

 さらに高まろうとする自分なのか、改めようとする自分なのか…その話し合いや振り返りを元に、また「心の清掃」のレベルを上げていけばよいのです。

整理・整頓

 教室環境を整える意味で、こちらも大切です。ただ、「心の清掃」がうまく回り出せば、気づいた子供たちが進んで整理・整頓を始めることでしょう。

 きれいで落ち着いた教室環境ができ上がっていきます。  

 ただし、それまでは担任が率先して整理・整頓を行うことになるでしょう。

物の扱い方

 「シューズの踵を踏まない」でも伝えたように、全ての物を大切にするよう指導します。

 私の場合は、次のように子供たちに話します。

「物を大切にしない人が、人を大切にできるはずがありません。自分の物も人の物も同じように大切にします。その意味で全ての物を大切に扱うことができる人になりましょう。児童玄関の靴箱にも目を向けます。いつも靴が揃っているかどうか、自分の履き物に対しても思いを寄せ、脱いだ時はそろえるなど、靴を大切に扱うようにしましょう。玄関の靴がきちんと揃っているクラスは、間違いなく(落ち着いている)素敵なクラスです」

 

 以上のような教室環境をつくることができれば、掲示物にいたずらをしたり、友達の靴を隠したりする、いじめにつながるようなことも起こらないクラスになるでしょう。 

 今回は、Ⅲ 教室環境をつくる - ② 清掃環境を整える について伝えました。

 次回は、Ⅲ 教室環境をつくる - ③ 仕事環境を整える について書きます。

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