前回は、準備を中心とした「授業が始まる前」のことについてでした。
今回は、「授業が始まってから」のことで、Ⅱ 学習規律をつくる-② 学習時の言動 です。
大切なポイントとして、姿勢・態度、礼儀、行動 を挙げます。
・姿勢・態度
授業中は、できるだけ良い姿勢を保つよう指導しましょう。
良い姿勢は、集中力や健康面にも好ましい影響を与えます。
1年生では、良い姿勢の「グー・チョキ・パー」といって、お腹や背中に手を当ててチェックする遊び的な方法がありますが、要は、各自で気をつけていくことが大事です。
もちろんずっと良い姿勢を保ち続けることは難しいですが、授業の開始時や姿勢が崩れがちの時など、要所要所で意識し、正していくようにしたいものです。
また、態度としては、シューズの踵を(生活全般を通して)踏まない指導をしましょう。
使う物を大切にする意味でも、しっかり踵まで入れて履くよう指導します。
時々「シューズが小さくなったから」という理由で踵を踏んでいる子がいますが、それは正当な理由ではなく、言い訳でしかありません。
痛くて履けないようなシューズであれば、近い内に保護者に買ってもらうようお願いするしかありません。そのことを子供に伝えて指導するか、教師から保護者に相談してみましょう。
・礼儀
「環境をつくる」のところでも触れますが、礼儀としての言葉遣いや返事についてです。
言葉遣いについては、特に授業中は丁寧な言葉を使うよう指導しましょう。
「です・ます」などの丁寧な言葉や敬語を使うこと、友達に対しても「呼び捨て」や「あだ名」ではなく、必ず「○○さん(□□くん)」と呼ぶことを指導します。
これは、授業時間はフォーマルな時間であり、休み時間(アンフォーマルな時間)と区別するという意味でも、守るべき大切なルールです。
当然教師に対しても、ちゃんとした敬語を使わせるべきであり、教師が呼名した時には、「はい!」と返事をさせるようにしましょう。
・「~していいですか?」「トイレに行ってきます」「○○を貸してください」
・「○年□組の○○です。~を取りにきました」(職員室に入る時も同様) など
大人に対する礼儀としての行動で、3年生ぐらいであれば、敬語を正しく使えるようにすることや、名前を呼ばれた時にはしっかり返事をすることを指導しましょう。
できていない場合は、「今のはおかしいです。正しく丁寧な言葉で言い直します」と指導し、やり直しをさせましょう。
・行動
教室を離れ、特別教室などに移動する際は、自分の椅子を机の中に入れ、整えてから整列し、静かに黙って移動するよう指導します。
この一連の行動の全てを、素早くテキパキとできるよう指導します。
この時に大事なことは、スピード感(全ての行動において)です。
子供たちには、日頃からスピード感をもって行動することを指導していきましょう。
多くの行動がスピード感をもってできるようになれば、クラス全体がまとまってきた証拠です。いろいろなことに対して効率よくスムーズに動けるようになります。
教室が常にきれいで整っているか、子供たちがスピード感をもって行動しているかを見れば、教師の学級経営の良し悪しが分かるというものです。
繰り返しの指導が必要ですが、諦めずに続けていきましょう。
当然、教師もスピード感をもって行動することが大切です。
関連した話として、授業の開始時や終了時に行う挨拶についての考えを伝えます。
授業を始める時に、「始めましょう」などの挨拶をするクラスが多いと思います。
挨拶を大切にするという観点で言えば、授業の始めと終わりに全員で声を出すことは、大切なことでしょう。
ただ私は、それほど重視してはいません。なぜなら、この場合は、いわゆる「おはようございます」の挨拶とは違い、コミュニケーションとしての挨拶というより、号令(かけ声)だからです。
声を出すことで気持ちを高める、気合いを入れるなどの点ではよいでしょうが、それよりも教師が全体を見て(というより、時間になったら)「始めます」と言って、さっさと授業をスタートした方がよいと思っています。終わる時も「終わります」でよいでしょう。
挨拶の際に、子供たち全員が揃うまで待つという教師もいますが、時間がもったいないと思います。(先ほどのスピード感にも影響します。もたもたしてしまうからです)
最初は、全員の準備が整った状態で授業を開始することを基本とし、指導もしますが、授業の号令に時間をかけたり、全員が揃うまで待ったりするのはナンセンスです。
それよりも即座に授業を始め、一人一人の学びの時間を確保することの方が大切です。
何より待たされる子供たちがかわいそうです。せっかく意欲をもって学習に取り組もうとしている時に、その気持ちを削ぐことにもなりかねません。
子供によっては教室に遅れて入ってきたり、授業中に事情があって退席したり、号令の声を出す意欲が出なかったりすることもあるでしょう。
その度に、全員で揃えるために待つというのは、やめた方がよいと思います。
授業の挨拶については、いろいろな考え方があると思うので、改めて検討してみてもよいのではないでしょうか。