担任教師こそが、「クラスのいじめをなくす」ことができます。
担任教師は、クラスで唯一の大人であり、リーダーです。こういう時こそ、絶対的なリーダーシップを発揮する場面です。
担任教師は、いじめを絶対に許してはいけません。それ以前に、いじめと言われるような事態になる前の段階から、きちんと丁寧に指導を行っていく必要があります。そうした状況を放置しないことです。
それが、その後のクラス全体に対して「いじめの防止力」「いじめへの抑止力」として働きます。
例えば、クラスのある子供のシューズがなくなったとします。
本人の思い違いで、家に忘れてきたという滅多にないケースを除き、たいていは誰かが隠したとしか思えない状況です。
まずは、本人から話をよく聞き、シューズがいつまであったのかや、心当たりはないかなどの情報を取得します。
本人からの話の中に、「○○さんがやったのでは…?」という内容も出てくるかもしれません。しかし、早合点は禁物です。はっきりしたことは、まだ何も分かっていないからです。
その上で、まず担任教師は、本人と一緒にいろいろな場所を探してみることが肝心です。
また、本人の仲良しの友達にそのことを話して一緒に探してもらうのもよいでしょう。
それでも、見つからない場合は、落ち着いて教室の子供たちに話し、全員で探すということになるでしょう。たいていの場合は、この段階で見つかることが多いです。
たとえ見つかっても、当然「見つかって、よかったね」で終わってはいけませんよね。
情報を総合的に整理した上で、「隠された」ということが濃厚な場合は、時間を取って「同じようなことが二度と起こらないように…」とクラスで指導する必要があります。
これは「犯人さがし」をするのではありません。そんなことよりも、クラスの子供たち全員に、人の物を隠すことがいかに悪いことであるか、人としていかに卑怯でレベルの低いことであるかをしっかりと伝え、一人一人の「心の根っこ」に落とし込むのです。
そして、こういうことを担任である私(自分)は絶対に許さないことを宣言します。
もちろん、隠したことを伝えてきた子供がいた場合は、その子から十分話を聞き、今後どうしたいのかを含めて、子供同士が納得できる形(互いに謝ったり許したりするなど)で解決を図ることになると思います。
こういった指導を折に触れ行っている担任教師のクラスでは、大きないじめなどは起こりにくいといえるでしょう。
子供たちの心に「いじめは、悪である」ということが深く浸透しているからです。
ある意味、子供はとても純粋です。そして、子供の心が真っ直ぐで純粋な頃にこそ、こうした教育を施していかなければならないと思います。クラスという一定の集団の中では、特にそれが可能です。
つまり、いじめが起きてからでは遅いのです。その前の段階で最悪の事態に発展する芽を摘んでおくというより、そこまで子供たちが成長するようにしておく、ということです。
日々のいろいろな子供同士のトラブルも同様です。
そこには、いじめに発展する危険性がいっぱい潜んでいます。その危険性の低い、事が小さな内にしっかりと解決しておくのです。
担任教師が一つ一つ丁寧に対応し、子供たちが互いに納得する形で解決が図られることが日常化していれば、そうした危険性がいじめに発展することは、まずありません。
それでもいじめが起きてしまうことがあります。
残念ながら、それまでの小さな危険性を見逃してきたから、しっかりと解決できていなかったから、に他なりません。私は、そう思っています。
次回は、いじめが起きてしまった時の教師のあり方や対処方法などについて書きます。