その学校(全校児童約800名の大規模校)で、「朝読書」の具体的な進め方のルールや指導の在り方などについて教職員に資料を配付し、伝えました。その内容がこれです。
『 【 朝読書を進める際の基本的なルールや指導の在り方 】
①子供たちは、読書の本を前日まで(遅くとも朝まで)に用意しておく!
※学校司書のY先生と連携・相談する。家から持ってきてもよい。
②読む本は、子供の好きなものでよい!
※ただし、ただの漫画×、学習漫画や絵本○。取りかかりはハードルが低くてよい。まずは本を読むことに慣れること、そして、少しでも好きになればよいと考える。事前の指導として「文字の多い本の方が、より豊かな心に繋がるよ」など、学年の実態に応じて伝える。
③朝読書の10分間は、教師も丸付け等をせず、読書をする(教材研究もよしとする)
※師弟同行は、教育の原点!子供の安全確保や健康面等で、必要なときのみ対応する。
④原則として、読書に集中しない子供に、注意や指導をしない!
※これが一番難しい。つい指導に走ってしまうからである。事前指導で、はっきりと伝えておくとよい。子供たちが主体的に読書に取り組む姿勢や態度を身に付けていくことが大切だということ、注意や指導をすることで、他の子供たちの大切な読書の時間に悪影響を及ぼすこと、読書をしないことがその子自身の学びの損失になること等を朝読書以外の時間に伝えていくこと。また、この朝読書の時間に限って、子供同士であっても注意し合わないように事前指導する。理由は同じである。信じて待つ教育であり、根比べでもある。どうしても静かに取り組めない子供がいる場合は、しばらくその子供の様子を静観した後、別の場所でクールダウンさせるか、職員室にヘルプを頼むなどして対応する。
⑤読書冊数を競ったり読書カードを書いたりするなど、負担感が増すことは強制しない!
※時々、朝読書の取り組み方について振り返りの時間をつくったり、楽しかった読後の感想等を伝え合ったりするとよい。進んでカードを書きたいという子供は、この限りではない。
以上、まずは子供たちが読書を楽しみ、本の世界に浸れるようになるとよいと考えます。気になる点や問題点などいろいろあると思います。よりよい方法やもっとよいアイディアがある方は知らせてください。よろしくお願いします。 』
いかがだったでしょうか。
子供たちは、間違いなく意欲的に「朝読書」に取り組んでいました。
ただ正直なところ、毎日「朝読書」が完璧に実行された訳ではありません。学年によっては、担任が子供たちからの提出物の確認や家庭からの連絡のチェックが長引くなどで余裕がなく、担任がその時間内にやらざるを得ないため、師弟同行がなかなか実行できないという問題もありました。
いくつかの問題に直面しながらも何とか「朝読書」を2年間実行し続けた結果、思ったのは「やはり、やってよかった」でした。
なぜなら、子供たちがとても落ち着いたからです。それまで崩れ気味であったクラス(4つ)も2年目にはほぼなくなり、学校全体がとても落ち着きました。子供たちが様々な学習に集中して取り組むようになったのです。
ちなみに、生徒指導上のトラブル件数が、2年間で6分の1に激減しました。もちろん各担任の指導力によるところが大きいのですが、私は「朝読書」の効果や影響も、多分にあったのではないかと思っています。その陰には、学校司書や国語担当の働きがあったことも見逃せないと思います。
いずれにせよ、このように全校一斉に取り組む体制がとても重要だと改めて感じました。
話が学校全体のことに広がってしまいましたが、「朝読書」はあなたのクラスでもすぐに取り組むことができます。
準備は必要ですが、「朝読書」をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。