54 「朝読書」のすすめ-①

 前回は、教師への「読書」のすすめでした。

 今回は、子供たちへの「読書」のすすめ、特に「朝読書」について伝えます。

 以前勤めた小学校で全校一斉に「朝読書」に取り組んだことがあります。それは、校長としての私の思いや考えからでした。

 「朝読書」に取り組む前に、以下のようなことを全教職員に伝えました。

『 今年度は、子供たちの心にフォーカスし、目に見えない内面を耕し、温めていくことで、豊かな心や優しい心情、自己肯定感等を育んでいきたいと思っています。その手始めとして、「朝の10分間読書(朝読書)」に毎日取り組み、習慣化しようと考えています。

 もちろん、そのことによるデメリットと思われることはあります。それは、これまで行ってきた朝学習の時間がなくなり、学力が落ちてしまうのではないかという不安や、読書の嫌いな子供がやる気を失ったり無駄な時間を過ごしたりするのではないかという心配です。

 反対に、メリットとしては、先ほどの豊かな心の醸成や一日の最初に心を落ち着け、自己を見つめる思索や想像の時間をもてること、1限の授業にスムーズに入っていけるという期待等があります。また、読書に親しみ、語彙や言葉を豊かにしていくことで、国語の文章題にも抵抗感の少ない状態で取り組めるようになるという見方もしています。そして何より読書からは、とても多くの、数字で表される学力とは異なる、目に見えにくい学びや力を得られると思っています。生涯に渡っての読書習慣の確立や貴重な(疑似)体験にも結び付くと考えています。

 ところで、「朝の読書」は今から20年ほど前、一時期全国的に流行ったことがありました。しかし、朝の体力トレーニングを行う学校が増えたり、朝の基礎トレ(100ます計算や百人一首など)が普及したりして、ほどなく衰退していった経緯があるようです。

 今さら言うまでもありませんが、学習指導要領にあるように、未来を担う子供たちに求められる学力として「活用や探究の力」があります。基礎・基本的な知識・技能は、学力の土台となる大切なものですが、もはやそこに留まっていてはいけない時代になっています。

 その意味でも「朝読書」を、と考えます。読書だけで活用力が簡単に身に付くわけではありませんが、いろいろな言葉に触れることから始め、徐々に言語活動を充実させていければと思っています。

 賛否両論あると思いますが、まずはやってみましょう。やりながら修正・改善をしていくことはできます。むしろ、行動しながら改善していくことこそが重要ではないかと思います。もしかすると、子供たちや皆さんに『ごめんなさい』と言うことになるかもしれません。しかし、そこは皆さんの知恵を借りながら、どうすれば子供たちの学びを充実させ、成長を保障していけるかを共に模索していきたいです。もちろん「朝読書」を行っただけで、学校の教育目標を達成できる訳ではありません。私もそうは思っていません。大切にすべきは、これまで同様、やはり日々の授業です。

 教材研究や授業の工夫をしつつ、子供たちと向き合う時間を生み出し、子供たちの心を温めていくことで、今年度の重点目標を目指していきましょう! 』

 この後、全校体制で「朝読書」に取り組んでいく訳ですが、軌道に乗るまでには少し時間がかかりました。それでも、とても有効な取り組みであったと今でも思っています。

 具体的な「朝読書」の進め方と基本的なルール、実践の結果などについては、次回にします。

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学校教育
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