23 学級経営のイロハ⑨「タテの関係づくり」(Ⅰ 生活規律をつくる-③いじめを許さないこと)

③いじめを許さないこと

 現在の学校教育の中で、最も大きな課題といっても過言ではない「いじめ問題」は、何としても解決しなければなりません。

 これは4月の学級開きで、担任が最初に話す「大切にしたいこと」の1つになります。

 教師として「これだけは絶対に許さないということ」と「もし起こった時には必ず解決するということ」を強い覚悟と熱意をもって、子供たちに伝えることです。

 「この時だけは、私はものすごく叱ります」と言いながら、静かに真剣な顔で話します。

 また、「いじめは、クラスのメンバー全員で解決すべき問題であること」も伝えます。

 決して、当事者や一部の人間だけで何とかできるものではなく、全員で考えや思いを出し合い、話し合って解決していくべき問題であるということを伝えなければいけません。

 私の場合は、いじめに限らず、クラスの中で起こっている問題は、全て全員の問題だという意識をもつように伝えています。

 そう言うと、よく言われる「連帯責任」と勘違いされがちですが、そうではありません。

 クラスで起きている問題を、他人事(ひとごと)ではなく、自分事(じぶんごと)として、全員で解決していこうということです。「助け合い」の実践です。

 子供たち全員に、このことをしっかりと伝えます。

 とはいえ、正直「いじめ」は、担任にしか解決できないと考えた方がいいと思います。

 要するに、「自分がやらなければ、誰がやる」といった担任の強い思い次第だと思います。それが、いじめのないクラスをつくっていくのです。

 もちろん、実際には担任一人でやることではなく、子供たちと共に解決していけばよく、またそうすべきだと思います。そうしなければ、手遅れになってしまう可能性があります。

 まずは、教師が「私は、絶対にいじめを許しません」という宣言をすることです。

 そして、「いじめ」が起きた時には、何事にも辞さない、毅然とした態度で「いじめ」に対応していくことです。

 「いじめ」は、当事者の問題もありますが、周囲の大勢の子供たちの言動次第で、その様相が大きく変わってきます。

 周囲の子供たちの言動が抑止力として働き、クラスの中でうまく機能している場合は、「いじめ」に発展することが少なくなります。

 反対に、周囲の子供たちが見て見ぬふりをしたり、その状況に加勢したりするような空気が少しでもあると、「いじめ」は徐々にエスカレートしていきます。

 だから、周囲の子供たちの対応、つまりクラス全体の空気(雰囲気)が大事なのです。

 「いじめ」が起きた場合の対応の仕方などは別の機会に譲りますが、このようなクラス全体の「空気感」は、4月の学級経営次第であることを肝に銘じておきましょう。

 また、学級経営において、私は優しさ思いやりを最も大切にしたいので、次のような話をします。

・人として、優しさや思いやりがあふれる人やクラスを目指していこうということ

・人にされて嫌なことは人にしないこと

・いじめ、悪口、ひそひそ話はしないこと

 教師であれば、教室の中で大切にしたいことが必ずあると思います。それをしっかりと子供たちに伝えましょう。

 さて、教室では「いじめ」とはいかないまでも、毎日のように子供同士のちょっとしたトラブルが起こります。

 子供同士のトラブルは、つい問題としてマイナスに捉えがちですが、むしろチャンスとしてプラスに捉えるべきです。子供たちの成長の過程には、必ず必要なものだからです。

 ただトラブルには、教師としてしっかり対応しなければいけません。のんびりと構えていたり、放っておいたりしては絶対にいけません。早期発見、迅速対応が必須です。

 事が起きて、教師が把握した段階で、すぐに当事者の双方からその時の状況や話を聞き出すことです。

 できれば、その時近くいた子供たちからも状況を聞き、情報を集め、確認し合えるとよいでしょう。情報収集や事実の確認・すり合わせなどは、当然必要になってきます。

 この辺りの指導については、以前にも書いたので参照してください。

 大切なのは、双方が納得することです。

 教師は、つい自分の判断を優先させたり、子供たち同士で互いに謝ったりすることを急ぎがちです。

 そうではなく、子供たちが納得して自分たちでトラブル(問題)解決ができるように支援することこそが大切です。

 早期発見・迅速対応は必須ですが、時にはどうしても解決が長引く場合もあります。

 しかし、それも子供たちにとって必要な成長過程であるとすれば致し方ないと思います。

 むしろその場合は、じっくりと問題解決に時間をかけ、その子がゆっくりと成長している時なのだと捉えるとよいです。

 問題がこじれるのはよくないですが、教師が一方的に意見を述べたり、事実確認が曖昧なまま結論を押しつけたりするなど、解決を急ぐことは慎まなければなりません。

 言うまでもありませんが、トラブルについては、必ず双方の保護者に伝えておくことを忘れないようにします。

 トラブルは、できればその日の内に解決できればよいですが、そうでない場合は、毎日の様子を家庭に伝えることが大切です。

 そのためにも、子供たちの様子をしっかりと見て、把握しておかなければなりません。

 以前にも伝えた「全体を見る」や「一人一人を見る」ということです。覚えておいてください。

 子供たちは、様々なトラブルを経て成長し、大きくなっていきます。

 トラブルは起こるものだと考え、悠然とした態度で、適切に対応していきたいものです。

 

 今回は、Ⅰ 生活規律をつくる ③いじめを許さないこと という話をしました。

 次回は、Ⅱ 学習規律をつくる について伝えます。

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