126 「カスハラ」問題を考える…①

 あなたは、「カスハラ」を知っていますか?

 実は、私は今日まで知りませんでした。

 「○○ハラスメント」という言葉と意味は聞いて知っていましたが、今回の「カスタマーハラスメント」は初めて聞きました。

 「レジで店員に暴言を吐く客」や「電話で長時間苦情を繰り返すクレーマー」など、顧客から従業員への理不尽な要求をする行為がそれに当たるそうです。

 昨今、様々な「ハラスメント」が取り上げられ、大きな社会問題になっています。

 「カスハラ」で言うと、例えば、従業員からマスクの着用を求められた客が「俺をコロナ扱いするのか」と罵声を浴びせたケースや、売店のお土産に髪の毛が入っていたと主張し、100キロ離れているにも関わらず、冬の夜間にすぐに謝罪に来るよう強要した例などを聞きました。

 カスハラ問題に明るい大学教授のM氏によると、犯罪心理学の観点から「カスハラ」は、ストーカーと似た加害者心理があるとのことです。孤独感が問題行動を繰り返す要因となり、感情のコントロールが難しく攻撃的になるなどの類似点があるそうです。

 また、M教授はこうも言います。

 「悪質なクレームの増加は、企業にも責任がある。多くの企業は、『お客様は神様です』といった言葉や日本特有のおもてなしの文化を重視し、客を必要以上に大事にして理不尽な要求にも対応してきたため、客側も『店は客を大事に扱うのが当然』と考えるようになり、クレーマーを生み出している。客の正当な訴えとクレームとの線引きは難しく、その基準を決める上でも法的な整備が必須である」と…。

 なるほど、と思いました。

 現時点では「カスハラ」を取り締まる法律はなく、被害を食い止めるには法律の整備が必要のようです。(厚労省から出ているマニュアルは、そうした強制力はないようです。また、同省は今年(2023年)の6月に「カスハラ」を労災認定の基準に加えると示したとのこと)

 こうした理不尽なクレームを世の中からなくしていきたいというのは、多くの人の願いでしょう。

 また別の話ですが、ドイツは、日本と比較すると、店と客とのパワーバランスが異なるそうです。

 日本では、店員は自我を出さず、どの客にも分け隔てなく接するのが良しとされていますが、ドイツでは店員の機嫌が明らかに悪いことがあったり、クレーマーにも感情をあらわにしたりするそうです。

 機嫌が悪いというのも、どうなのかなと思ってしまいますが、ドイツでは客が店を選ぶように、店側も客を選んでよいという考え方が通常のようです。それが従業員の心と体を守ることになる、とのことです。それもそうだなと納得することでした。

 「エコノミックアニマル」の言葉どおり、日本人は今でも「客のために一生懸命尽くすのが働く側の務めであり、当然のことである。それが働くということだ」という考え方が根強いような気がします。

 日本人らしい良さでもあると思いますが、そうした見方・考え方がこうした「カスハラ」を生み出している要因にもなっているのだと思います。

 客側も、「店員のくせに…」「こっちは金を払ってるんだ」というふうに思っている面があるのではないでしょうか。

 本来、客は店の物やサービスに対してお金を払っている訳で、それが気に入らなければその店で買わなければよいのです。店側も、理不尽な要求をしてくる客に時間をかける必要はないという考え方をしてもよいのではないでしょうか。

 日本でも、今後はこうした店と客とのパワーバランスを対等にしていく見方・考え方、価値観が必要になってきている時代なのだと思います。

 次回は、実は本題である、「カスハラ」と学校の問題との関連について取り上げます。

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学校教育
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