今回の中教審の緊急提言で1つだけ前進したと思えるのは、「教職調整額の制度見直し」が(ようやく)されようとしている点です。
この制度も70年以上置き去りにされたまま施行されてきた、現代に全くそぐわない古い制度です。
それを改訂していこうという国の動きが見られるようになったことは、大きな前進だと思います。この制度もまさに「教員定額働かせ放題の元凶」と揶揄されるだけあり、とても酷いものです。
それが、これほど長い間続けられてきているのです。一刻も早く変えてほしいと願っています。
ただ、制度を廃止して残業代を支払うことになるのか、はたまた調整額を増やして対応することになるのか、どちらかだと思われますが、いずれにしても教員の給料を増やしたところで、仕事が減る訳ではありません。
結局は、教員の働き方改革の大きな改善にはつながらないと思っています。
さて、この中教審の緊急提言(今さら何が「緊急」なのか、不思議な感じがしますが)のポイントを改めてまとめてみました。
①年間の授業時数が国の基準を大きく上回る学校に改善を促す
②運動会や入学・卒業式などの行事で「前例にとらわれた部分」をやめ、時間を削減するよう促す
③教員の「勤務間インターバル」導入を検討する
④保護者の過剰な要求に対応し、教育委員会も支援体制を構築するように要請する
⑤授業以外の業務を支えるスタッフを拡充する(予算計上の検討)
などにより、「教員の長時間労働の是正」を目指すということです。
しかし、この対策で、本当に長時間労働が是正されるのでしょうか…?
もしも本気でそう考えている人たちが教育改革や教員の働き方改革の中枢にいるのであれば、教育界はこの先もとても暗いと思わざるを得ません。
それを表現しているのが、新聞記事の中にある「中身に既視感 現場落胆」「希望持てず」「残業代議論へ障壁」という見出しであり、「現場で苦しむ先生の意見が反映されていない」の文面です。
私としても、まさに「現場を分かっていない人たちが議論していても何も変わらない」という思いです。
もう一度聞きます。
上の①~⑤を実行して、本当に「教員の長時間労働の是正」が達成できると思いますか…?
はっきり言います。私は思いません。
なぜなら、教員の長時間労働を生み出している核心に切り込む問題解決策になっていないからです。いわば、枝葉末節の改善策に過ぎないからです。
たいへん批判的な意見を申し上げていますが、私がそう言う具体的な理由を次回伝えたいと思います。