『・・・ところで皆さん、お金は好きですか?…好きな人?(挙手を求める)』
以前、小学5年生のクラスで「金銭教育」(外部講師による出前講座)を行いました。
「金銭教育」は、これまでにもいろいろな授業を見ていたので、今回も少し参観した後、職員室に戻ろうと思っていました。
ところが、講座(授業)の導入部分を見て、戻れなくなってしまいました。結局その時は、3組と4組の授業を2時間じっくりと参観することになりました。
実は、上記の問いかけに対して、予想どおり子供たちは全員手を挙げていましたが、戻れなくなった理由は、そこではありません。
私を釘付けにしたのは、何か?…それは、子供たちの「アウトプット」です。
子供一人一人が自分でしっかりと考え、自然につぶやいたり真剣な表情で発言したりしながら、意欲的に「アウトプット」をしていたからです。
また、子供たちが見方・考え方を変えたり心の中で葛藤したりして、「思考・判断・表現」を行っていることが多くのつぶやきや発言から伝わってきました。
思わず「いい授業だなあ」と思いました。
子供たちにとって興味・関心の高い内容もさることながら、それだけではなく、講師の先生の教材提示や場面の想像のさせ方がとても上手で、子供たちの心をぐっと惹きつけておられたのです。
また、子供一人一人を本当によく見て、つぶやきや発言を丁寧に取り上げ認めながら、考えをしっかりもたせようとしておられる姿にとても感心させられました。(講師は、小学校の元校長先生)
それから、授業中子供たちの意見や考えが異なる場面が度々ありましたが、子供たちから相手を非難したり責めたりするような言葉は、一切出てきませんでした。
講師の先生が一人一人のよさを認めつつ、教室内に互いを受容しようとする雰囲気をつくっていたことも効果を上げていました。
何より、子供たち自身が互いに意見を出し合い、考えを深めていこうとする「学びに向かう」姿勢や空気感がとても素晴らしかったのです。
担任の先生の学級経営が、大いに関係していることも外せません。子供たちが真剣に学習に向かうクラスになっているからこそ、この学習が深まったといえます。
ところで、日本人は時代劇や汚職のニュース等の影響が強いからでしょうか…「お金は、汚いもの」「お金を稼ぐのは、卑しいこと」というイメージをもつ傾向にあるそうです。
その一方で、「人生の悩みの90%は、お金で解決できる」と豪語する著名な方もおられます。
今回の「金銭教育」はそういった内容ではありませんでしたが、今後「お金の教育」という点からは、新たに高等学校に導入された「金銭教育」は、子供たちにとってとても重要な教科・科目になるであろうと感じました。
今回は、特に子供全員が「アウトプット」する授業という意味で、とても良い授業だと思いました。
これからの授業のあり方の参考になるのではと思い、次回、この授業の中身をもう少しお伝えしたいと思います。