7 学校教育に「自律」と「自立」を

 今回は、「自律」と「自立」という話をします。

 今月(令和5年5月12日~14日)、先進7カ国(G7)教育相会合が石川・富山両県にて行われます。

 この会合は、教育界にとってとても大きなイベントです。

 リアルとデジタルを融合した教育の促進や対話型人工知能(AI)「チャットGPT」による教育への正負の影響など、コロナ禍を経た学校教育のあり方をテーマにした会合です。

 この会合に先立ち、元東京都千代田区立麹町中学校長(現在は横浜創英中学・高校長)の工藤勇一先生が講演をされました。

 その講演の中で、工藤先生は、管理型指導を止め、「自律」した子供を育てる教育の重要性を訴え、次のように言われたとのことです。

 「日本が科学技術や経済面で世界をリードしていた20年前は、それが人口増加に下支えされているからにも関わらず、多くの人が『日本の教育は正しかった』と勘違いしていた。しかし、人口減少が加速度的に進む今、これまでの教育モデルが通用しないことに人々はようやく気づき始めた。日本の教育は、今が変わるチャンスだ。従来からの『当たり前』を見直し、子供が『自律』できる環境をいち早く整えなければならない」

 「学力テストに一喜一憂するのは、教育の本質から外れている。教育は、様々な問題に対して当事者意識をもち、課題解決を探る子供を育てること。それを学ぶ場が学校だ」

 「子供の主体性を伸ばすために必要な一つ目は、管理教育を完全に捨てること。私は教師2年目に、掃除や給食といったクラス運営も生徒会も全て生徒に任せることにした。マイノリティを排除する多数決だけは禁止し、あとは細かなルール作りから全てを子供たちに委ねた。あいさつ運動や頭髪指導など、意味がないと思える規則も廃止した。もう一つは、学びそのものを子供主体に変えること。現在日本で行われている授業は、約1割の『探究の時間』で主体性を育むアクセルを踏み、その他の9割の授業でブレーキを踏むという非効率的な方法をとっている。一方的に教えるスタイルの授業を廃止することで、ゲームをしたり小説を読んだり、苦手意識のある学習から逃げる子もいて、最長で7ヶ月かかる子もいたが、待てばどんな子も必ず自分で学び始めた。与えられる教育になれてしまった子供たちには、この『リハビリ期間』が必要だった」(5/10付 某新聞紙の記事より抜粋)

 私は、この記事を読み、何か心にすとんと落ちた感じがしました。

 まさにこれからの教育は、子供たちが学びの主体になっていくことが必要です。

 管理型指導を止め、「自律」を核とした教育がなされることが重要だと思っています。

 一方で、こうした指導に対するブレーキは、実は他にもたくさんあります。

 それは、教員の世界に厳然と横たわる、これまでの慣習です。

 特に日本人は、世間の目や同調圧力に強く影響される面があり、なかなか「変える・変わる」ということが難しい人種です。

 また、それ以上に、今の教育内容である「学習指導要領」(国で一律に決められている)にも、大きな問題があると思っています。(話が長くなるので、これ以上は割愛します)

 工藤先生のような改革者が次々と現れ、教育内容の変革も含めた、本当の意味での教育改革をぜひ推し進めていってほしいと願っています。

 と同時進行で、現場では、指導の仕方を少しずつ変革していくことが大事です。

 その際のキーワードは、工藤先生が言われる「自律」です。

 それから、もう一つあると私は思っています。

 それは、「自立」です。

 子供が人として成長し、大人になっていくためには、「自立」が必要不可欠だと思っているからです。

 「自立」とは、「人に頼らず、自分で自分の人生を切り開いていく」「自分らしい人生を生きていく」ということです。

 この「自律」と「自立」を、ぜひ今の学校教育の核として取り入れていくべきだと思っています。

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